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特産品紀行

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高知県安芸市 土佐ジロー

山間地で開発した「土佐ジロー」で地域を発信!

畑山集落内土佐ジロー鶏舎畑山集落内土佐ジロー鶏舎

高知県安芸市市街地から北上して約40分、険しい山道をひたすら車で行き、山あいの開けたそこに畑山地区というひとつの集落に出会う。そんな山間部の集落地で「土佐ジロー」を飼養している生産者、小松靖一さん。知る人ぞ知る、幻の鶏を作り上げたご本人である。
土佐ジローとは、父に「土佐地鶏」、母に「ロードアイランドレッド」を持つ地鶏で、その名前は、土佐地鶏の『ジ』とロードアイランドレッドの『ロー』からとったものである。
今では高級地鶏ブランドとして確立しているが、その陰の立役者、小松さんにお話を伺った。

  • 小松さん小松さん
  • 土佐ジロー商品土佐ジロー商品
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  • 畑山の学校の中畑山の学校の中

畑山地域から若者が出て行ってしまう・・

この安芸市畑山地区は、山に囲まれた自然豊かな地域であり、最盛期では700人いた人口も、今では高齢者が多く60数名にまで減少してしまった。平均年齢は70歳、この地区で一番の若手とは40代後半のことである。

小松さんは、この土地で生まれ、畑山にある川や山を遊び場として育ち、20代には畑山を盛り上げようと、青年団長としても地域活動に従事していたが、その思いとは裏腹に、共に頑張ってきた友人や後輩たちは、生活のために畑山から出ていってしまうのが現実であった。

それでも、小松さん自身は畑山を出ることは考えなかったそうである。

ただ、こんなにも人が出て行ってしまうのは、地域に産業がないこと、働く場所がないことが原因だと考え、「産業おこし」の必要性を改めて思ったそうである。

その思いから、山でもできる産業として、ししとう栽培などの一次産品をはじめ、畑山ならではの特産品を開発するための取り組みに着手する。

土佐ジローとの出会い

そんな小松さんが「畑山ならではの“特産品”を作りたい」、「地域に産業を」という思いを抱きつつ特産品開発の活路を見い出せない日々を過ごしていた頃、県畜産試験場が開発した卵肉兼用鶏「土佐ジロー」の生産者募集の記事を目にする。今から20年前のことである。

 その記事を見た瞬間、小松さんの中で「やりたい!」との思いが湧き上がったそうである。しかし、「鶏は難しい」「あれは未完成だ」という周囲からの声に一度は諦めるものの、当時の地元選県議から「ジローを畑山で飼うてみんかよ」の声が掛かったことで、5人で畑山土佐ジロー生産組合を結成する。

 2年程経って土佐ジロー卵の評判も一定の評価を得るようになった頃、小松さんはふと思う。

「雄鶏はほとんどが廃棄されるが、ヒナのうち55%が雄。半分以上もいる雄が廃棄されるのはもったいない。卵だけでは採算が合わないし、これを何とかできないか-。」

当時、県から推奨されていた土佐ジローは、卵肉兼用地鶏といっても雌の熟鶏の肉で肉質も硬く、雄鶏は身体が小さく歩留まりが悪いため、雄鶏の若鶏肉の生産は、今までどこの地域でもやっていなかった。

雄鶏の飼養を申し出たとき、県からは「雄はやめてほしい、採算を考えると100g500円になる。牛肉を追い越してしまう」と心配されたが、「500円の鶏肉を食べたいお客さんもおるはず。えいものを作って、そこへ向けた商売をしていかんと」と気丈にも突っぱねたそうだ。

ここに特産品『畑山土佐ジロー』が産声を上げるとともに、特産品開発に向けての小松さんの並々ならぬ努力と苦労が始まることになるのだ。

土佐ジローと向き合う日々

当初は5人で立ち上げた畑山土佐ジロー生産組合も、高齢のため一人抜け、二人抜けと最後には小松さん一人だけになってしまっていた。

仲間はいなくなり、愛知で働いていた弟さんを呼び戻して土佐ジローの生産と売り込みを続けるものの、ジロー肉は売れない。

必ず売れるはず。ブランドになるはず―。

―なぜ、そこまでして前向きに頑張れてこれたんでしょうか?やめることは考えてみえなかったんですか?

ぶしつけにも思わず、小松さんに聞いてしまった。

「呼び戻した弟のことや公金で建てた加工場への責任もあったんやが、商品のオリジナリティと人を巻き込めるようなオンリーワンでハイレベルなものがあれば田舎でも生活できるはず。一生涯かかるかもしれんが、それをつくることができると、信じとったんやなぁ。」

その思い入れはブレることなく、土佐ジローの品質改良のため鶏舎の構造や餌の配分などの研究を重ねていく。

様々な試行錯誤を繰り返し、ジローに取り組んで12年、ようやく確かな味をもつ若鶏肉の土佐ジローが完成する。

ある時、全国ネットのTV番組で、小松さんが生産した土佐ジローの肉と卵が食材として紹介されたことから、その名を全国で知られるようになった。小松さんの「いつかブランドになる」との思いはようやくここで実を結ぶことになる。

畑山再生へ向けさらなる段階へ

畑山地区には、温泉がある。

ここで、唯一温泉に入ることのできる施設が「畑山温泉“憩の家”」である。市が運営していたその施設は赤字がかさみ、廃止も検討されていた。

そんな中、小松さん兄弟は、平成17年に思い切って(有)はたやま夢楽を設立し、「憩の家」の指定管理者を引き受けることにしたそうだ。

またひとつ疑問が浮かび、小松さんへ尋ねる。

―これまでも土佐ジローの取り組みで苦労なさっているのに、赤字がかさむ施設の指定管理を受けた理由を教えてもらえますか? 

「畑山を元気にするために土佐ジローに取り組んできたけんど、畑山に滞在するところが無くなってしまったら、益々ここに人が訪れなくなる。畑山に人を呼ぶために引き受けたんよ。」

 小松さんの取り組みはあくまでも、畑山を元気にするための一貫なのである。

 引き受けた最初の頃は、建物の修理で終わる程のひどい状態だったそうだが、そこは小松さんのアイデアによって益々活気を呼び戻すべく「憩の家」が様変わりしていく。

 温泉や宿泊施設のみならず、小松さん兄弟が生産する土佐ジローを使った食事の提供を始め、親子丼、空揚げ、すき焼き、炭火焼き、とさかや砂肝、白子の刺身などがメニューに並び好評を博す。

それまで、憩の家に訪れるのは県外からのお客さんがほとんどであったが、平成18年に地元新聞紙で土佐ジローの取り組みがシリーズ化して紹介されてから、県内のお客さんも増え、ようやく切り盛りが楽になってきたところだそうだ。

これまでも前向きに取り組んできた小松さん。様々な失敗談を交えながらも苦労をいとわず笑顔で語ってくださった。

その人柄と、生産者として消費者を裏切らない「確かなものをつくる」姿勢、頭が下がる思いで聞かせていただいた。

「畑山の学校」誕生

憩の家から徒歩5分程の距離に、旧畑山小中学校がある。実はここに、「畑山の学校」という、廃校となった建物の外観からは想像がつかないおしゃれな空間が存在する。古本図書館である。

書籍は、TVや新聞などメディアを通して全国へ呼びかけ、予想以上の反響で3万冊もの古本が寄贈されたそうである。

地元の高齢者が本を磨き、ボランティアや高知工科大学の学生などの協力を得ながら、ここに古本図書館『畑山の学校』が誕生した。

 この「畑山の学校」を作るべく中心となって動いてきたメンバーの1人にも小松さんがいる。

「憩の家」から畑山を散策ができるように手作りのマップも作成した。

畑山の田舎の風景の中に、童心に戻って楽しみを見い出せる場所や、癒される空間が増えつつある。

そして、人も来つつある。

畑山の発信に向けて

畑山に人が訪れるきっかけや土台はできてきた。

 小松さんが考えているこれからの展開は、希少価値の高い「土佐ジロー」の生産性と供給性を高め、もっとたくさんの人に口にしてもらえる機会を増やすこと。そのためには、飼養や加工、販売に至るまでの人育て、仕組みづくりの課題がまだまだ山積みであり、人を巻き込んで取り組むことが重要だと考えている。

 ゆくゆくは「土佐ジロー」と「畑山の源流水」、「畑山の産品」をセットにして、付加価値を高めての販売も考えている。

そんな小松さんの最終目標は、やはり全国に「安芸市の奥座敷・畑山」を発信し、畑山を元気にすることである。そして、その発信源アイテムは、言うまでもなく「土佐ジロー」。

 畑山へ遊びに来る人、就労する人、そして、住む人。様々な人が畑山へ戻ってくるように―。

 小松さんのアイデアはまだまだ尽きることはない。そして、その前向きな取り組みは、これからも続いていく。

 里山風景が広がる畑山で土佐ジローのフルコースを味わってみてはいかがだろうか。

 

【土佐ジローに関する問い合わせ】

 畑山土佐ジロー会

TEL :0887-34-8005

   0887-34-8146(加工場)

FAX : 0887-34-8115

URL : http://www.tosajiro.com/

【畑山温泉に関する問い合わせ】

 畑山温泉「憩の家」

TEL/FAX兼 : 0887-34-8141

URL :http://hatayamamura.jp/onsen/index.htm

【畑山の学校に関する問い合わせ】

 畑山の学校

TEL : 0887-34-8005

FAX : 0887-34-8115

URL :http://hatayamamura.jp/sisetu/index.htm

財団法人 地域活性化センター

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